俺たちの妹・3
朝までに下がってくれるといいんだけどな……

そう思いながら、ゼリーの蓋を開ける。

食べやすい様に少し小さめを選んでくれているのも葵の優しさ。

葵と過ごす事で、何気ない事からも優しさを感じる。

「葵、ありがとう」

「どうしたの?急に」

突然の私の言葉に笑い出す葵。

「色々考えてくれてるなって思ったから」

「へへ。みぃに伝わってるなら俺は嬉しいよ」

イタズラっ子みたいに笑った葵はちょっと可愛かった。

「食べ終わったら、薬飲んで寝よう。明日司さんのところ行かなきゃだし」

そうだった。

またつーくんのところに行かないとなんだった。

「うん。結果悪くてもお家に帰れるかな?」

私の言葉に怪訝な顔をした葵。

「結果悪そうなの?」

「ううん、それは分からないけど、お家がいいなって思ったから」


「司さんは、みぃが嫌がることは基本しないと思うけど、どうしても必要な時は聞けないと思うよ」

「だよね……由奈さんにもひな兄にも心配掛けたくないなーって思って」

「なるほどね。まぁ、今これだけ話出来てるし、発熱も微熱だから、入院にはならないと思うけどね」

葵の言葉を聞いて少し安心した。


「さ、お話はまた後で。ゼリー食べよ?」

「うん」

カップに入っているゼリーを一口食べる。

「美味し」

「ふふ。みぃが喜んでくれたなら良かった」

そう言って私が食べている姿を見つめる葵。

やっぱり心配かけちゃってるなー。

お式まで、体調崩さないかって私もだけど、葵もドキドキしてだろうし。

もう少しだけでも強くなりたい。

せめて、大切な人の予定には参加したい。

頑張らないと……

誰にも知られないところでの私の小さな決心だった。
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