俺たちの妹・3
俺は無意識に胸に手を当てた。
ドキドキドキドキ……
いつもの速さより早く脈打ってるのが自分でも分かる。
「もしかして………?俺が………?」
自分の気持ちを理解しようとする俺は正直戸惑った。
こんな感情初めてだったから……
俺は学生の頃、言い寄られる事はよくあって、好きでもない人と付き合ったりはしていた。
でも、俺はなかなか本気にはなれなくて……
しかも俺の最優先事項は、美晴だから。
デートの約束をしていても、美晴が入院すればキャンセルしていたし、当日にドタキャンした事もあったっけ……
こんな俺に愛想を尽かすのも当然で、
『私と妹どっちが大切なのよっ‼︎』
と、分かりきった答えの質問をされる事もしばしばあって、
もちろん『妹の美晴だ』と伝えれば
『このシスコン‼︎』
と更に怒らせる事も多々あった。
こんな事を繰り返していくうちに、彼女なんて必要ないという答えにたどり着いて……
兄貴は彩さんという理解のある女性を学生の頃から見つけていて……
俺にはそんな女性は見つけられないとずっと思っていた。
そんな俺に、初めての感情が現れた事に俺が一番驚いていた。