俺たちの妹・3

由奈side…

その日は朝から頭痛がして、頭痛持ちの私は、いつもの事だと市販薬を流し込んで出勤した。


「おはようございま〜す」

ナースステーションの前を通って挨拶をする。

「おはよう、由奈。……ちょっと顔色悪いけど大丈夫?」

「梓……頭痛薬飲んできたから大丈夫」

同期の梓にはいつも私の不調を見破られる。

流石救急の看護師だけある……

「無理しちゃダメよ。辛い時は辛いって言うんだよ。山内先生優しいし、ちゃんと伝えて大丈夫だからね……」

「ありがと。大丈夫だから」

とは言ったものの、頭痛は治まったが、増してくる身体のだるさ……

いつもの頭痛じゃないのかも知れない……

そんな事を考えながら、仕事に取り掛かる。

「おはようございます」

山内先生の診察室へ行くと、

「おはよ。今日もよろしくね」

と優しいし笑顔で答えてくれた。




今日はいつも以上に忙しいな……

午前中の診察の終盤にかかった頃。

振り返った瞬間、目の前が真っ暗になって、思わず周りに手を伸ばした。

ガタッ

という音がしたけど、壁に手を押し当てる事が出来た。

「前園さん?」

あの音で山内先生が気づいたみたい。

「あ………すみ、ません。ちょっと、立ちくらみが……」

私の言葉の途中で、山内先生は椅子に座らせた。

そっと手首を掴み、脈を測ってる。

ヤバイな……バレるかな……

「いつから?もっと早くに気づいてあげれたら良かったのにごめんな」

「いえ……私の体調管理不足です」

「このまま診察しちゃおっか」

「え、でも……患者さんまだ残ってますし……」

先生たちの手を煩わすのが申し訳ない……

そんな私をよそに、電話を掛け始めた山内先生。
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