ウソのコイビトになりました
「陽斗くん?出かけてくるね。
お昼ご飯は作り置きのなんかを食べてね」
無断で行くのは悪いと思い、声をかける。
返事は帰ってこないがドアを開ける気にはなれない。
一応言ったし、いっか!
そう思い玄関に向かおうとすると、ドアが開き
「朱里」
と、呼ばれた。
その声にビクッとしたのが自分でもわかった。
「……昨日のことは忘れろ」
「え…」
ファーストキスを奪われたのに忘れろ?
そんなのひどすぎない?
ちょっとした怒りを含み陽斗くんの方を振り返る。
目が合うと反射的に目をそらし俯いた。