ウソのコイビトになりました



「だけど、そう思ってもやっぱ辛くて、小さな意地悪したこともあったんだ」


「………いじわる?」


「うん。ほら、陽斗くんの傘渡した時あったでしょ?
あれは、陽斗くんが熱だから朱里ちゃんに渡しただけじゃないんだ」



どういうこと?



「朱里ちゃんの知らないところで、私と陽斗くんが会ってたんだ、って思わせたかったの」



「最低でしょ?」と付けたす。



「だけどね、最後は罪悪感で一杯になるんだよね。
私だって朱里ちゃんこと大好きだから」



そう言うと優夢は私の方を向いて



「こんな最低な私だけど」



と言った。
この言葉の続きはきっと、私が言いたかったこと。



「「仲直りしてくれませんか」」



お互いそう言って目が合うと自然と涙と笑みが零れた。



< 247 / 418 >

この作品をシェア

pagetop