ウソのコイビトになりました
「だけど、そう思ってもやっぱ辛くて、小さな意地悪したこともあったんだ」
「………いじわる?」
「うん。ほら、陽斗くんの傘渡した時あったでしょ?
あれは、陽斗くんが熱だから朱里ちゃんに渡しただけじゃないんだ」
どういうこと?
「朱里ちゃんの知らないところで、私と陽斗くんが会ってたんだ、って思わせたかったの」
「最低でしょ?」と付けたす。
「だけどね、最後は罪悪感で一杯になるんだよね。
私だって朱里ちゃんこと大好きだから」
そう言うと優夢は私の方を向いて
「こんな最低な私だけど」
と言った。
この言葉の続きはきっと、私が言いたかったこと。
「「仲直りしてくれませんか」」
お互いそう言って目が合うと自然と涙と笑みが零れた。