涙色花火
───ヒューーー……
真っ暗でしずかな夜の空に、ひとすじの光。
天へ天へとのぼっていくと、
ほんの一瞬、その姿をかくす。
すると、つぎの瞬間……
おおきなおおきな花が夜空で満開をむかえて、
それにすこしおくれて……
───ドーーーンッ……
心臓にまで響くおおきな音が、街中に響きわたる。
───翔陽ちゃんは、
いまから2年まえの花火大会の当日、
みゆとのまちあわせ場所に
こなかった───……。