涙色花火
メールが送信されたのを確認して、スマホをポケットにしまう。
そして、もう1度この街をみわたす。
……翔陽ちゃん。
みゆのメールは、とどいていますか?
空をみあげながら、どこにいるのかわかんない翔陽ちゃんに心のなかではなしかけていると、うしろで屋上のドアがひらく音がする。
そしてきこえてきた声に、みゆの心臓は“───ドクン”と、音を鳴らす。
“「みゆ」”
この世界で、みゆのことを『みゆ』とよぶのは、みゆと、あともうひとり……。
だけどそのひとは、いま、みゆのそばにはいない。
そんなことはみゆがいちばんわかっているのに、“もしかしたら”と思って、声のするほうへふりかえってしまう。
「っ……つ……ばさ、くん……」