涙色花火
「つぎ、英語の小テストだよ」
きまずい空気がながれないように、翼くんはニコッと笑ってくれる。
「じゃあ俺、先にもどるよ」
そう言って、みゆに背をむける。
そして、翼くんの背中がみえなくなると、みゆはクルッとうしろをむく。
───翔陽ちゃん。
いまの彼ね、『翼くん』って言うんだよ。
翔陽ちゃんの笑顔ににてるでしょ?
涙がポロポロとこぼれおちる。
翼くんね、みゆのことが好きなんだって。
ずっと、ずっと、想いつづけてくれているんだよ。
翔陽ちゃんは、ヤキモチやかないの?
みゆがほかのひとにとられちゃっても、……いいの?
もう、みゆのこと嫌いになっちゃった……?
みゆをうしろからぎゅーってして、おまたせ……って、おそくなってごめんねって言ってよぉ……っ。
「翔陽ちゃんっ……」
──────…………