涙色花火



「おー、結優奈。まってたぞー」


あつめたプリントをかぞえながら、1ーAの担任の先生の夏葵(なつき)先生、通称、なっちがみゆをみてこっちこっちと手まねきをする。


「小テストって言ってたのに、サボりやがって」


なっちはみゆのあたまをコツンとかるくたたく。


そして、「あっ、そうそう」なんて言いながらはなしをつづける。


「さっきの授業で席がえして、結優奈の席ここにしたから」


そう言って教卓の前の席をさす。


机の横にかけてあるスクールバッグは、たしかにみゆのだ。


「ここだと授業ききやすいだろ。結優奈ちっこいから、うしろにしたらみえねーし」


サラッと、みゆのきにしていることを言われた。


「となりに奈月がいるから、まぁ、いいだろ?」


そのことばに右どなりに目をむけると、プリントと格闘しているなっちゃんの姿が。


「奈月、英語はまぁまぁだけど、ほかの教科があやしーからな」


そのことばに、なっちゃんは顔をむくっとあげる。


< 26 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop