涙色花火
「ちょっと、なっち!生徒にむかってバカとか言わないでよ!もぉ、奥さんに言いつけてやるんだから!」
「バカとは言ってねぇよ。しゃべってないで、はやくそれおわらせて」
先生となっちゃんのやりとりにクスクス笑いながら、みゆは教室をみわたす。
無意識にさがしてしまう。
……みつけた。
窓際の、うしろから2番目の席。
横むきにすわりながら笑う、翼くんの姿。
席、はなれちゃったな……。
さすがに、何度もとなりの席にはならないか……。
翼くんのまわりには、女の子がいる。
自分からは女の子にはなしかけないけれど、はなしかけられるとだれとでもはなすことはしっている。
女の子と笑いあっている翼くんをみて、胸がぎゅうってなる。
そんなみゆの姿をなっちゃんがみていたことに、みゆはきがつかなかった───。