涙色花火
その夜、家に帰って部屋でゆっくりしていると、ふと思いたって、机の引きだしの奥にたいせつにしまっていたみゆが中学のときにつかっていた紫色のケータイをとりだす。
そして、メールをひらく。
そこには、翔陽ちゃんとのやりとりがあふれかえっている。
高校入学と同時にいまのスマホに買いかえたから、翔陽ちゃんからのメールはこのケータイにしかのこっていない。
翔陽ちゃんとみゆをつなぐたいせつなものだから、つかわなくなったいまでもだいじにとってある。
メールだけじゃない。
このケータイで、翔陽ちゃんといっぱい写真を撮った。
画面のなかにいるふたりは満面の笑みで、すごくしあわせそう。
しあわせ“そう”じゃない。
このころは、ほんとうにしあわせだったよ。
翔陽ちゃんのことを思いだすと、涙が自然とあふれてくる。