涙色花火



「……っ翔陽ちゃん……ヒックっ……」






……翔陽ちゃんっ、


翔陽ちゃんがひっこしちゃってから、みゆは心から笑えていないよ───。






「……結優奈?」


みゆの部屋のドアをコンコンとノックをする音といっしょに、ママがみゆのなまえをよぶ。


一軒家とちがってマンションだから、リビングとみゆの部屋はそんなにはなれていない。


みゆの泣き声がきこえたのかな?


ただでさえ、翔陽ちゃんのことがあってママはみゆのことをきにかけてくれている。


シングルマザーで、ママとみゆのふたりきりだからよけいなのかもしれない。


なにも返事をしないみゆに、はいるね、とひとことそう言って部屋にはいるママ。


ママの顔をみると、よけいに涙があふれてくる。


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