涙色花火
「……うぅっ……ママぁ……っ」
すわりながら前にたおれこみそうになるみゆを、ママはそっとだきしめてうけとめてくれた。
翔陽ちゃんがいなくなってから、こういうことはかぞえきれないくらいあって、そのたびにママがみゆをあたたかくつつみこんでくれた。
だからいまみゆが泣いている理由も、ママはきかなくたってわかるのだと思う。
「っ翔陽ちゃんはどうして、みゆになにも言わずにどこかにいっちゃったのぉっ……?」
ママはこのことばを何回、みゆの口からきかされたかな。
それなのに、なにも言わずにただ、みゆの背中をやさしくさすってくれる。
「……ヒック……ねぇママぁ……っ、みゆ、翔陽ちゃんに怒られるかなぁっ……?」
そう言って、ママの胸にうずめていた顔をあげて、ママの瞳をみる。
ママの瞳にうつるみゆはボロボロで、こんな姿を翔陽ちゃんにはみせられないなって思ったよ。
「……あのね、翔陽ちゃんじゃない男の子にドキドキしちゃうのっ……」
みゆの瞳が、
きづけばキミをさがしている。
みゆの耳が、
勝手にキミの声をひろっている。