涙色花火
「翼くんを、みゆはいつも目でおっちゃうの。みゆには翔陽ちゃんがいるのに……っ」
ずっと、悩んでいた。
ずっと、ずっと、くるしかった。
あたまで思っていることと、心でかんじていることがちがうから。
もう、限界だったんだ……。
瞳に涙をためたまま、ママの顔をみつめる。
そしてママは、儚い、だけどすごくきれいな花のように、みゆにそっとやさしくほほえんだ。
「なにもわるいことじゃないよ。全然わるくない。だから、自分のことをせめなくていいんだよ」
そう言って、自分のゆびで涙をぬぐってくれる。
「くるしかったね。結優奈、がんばった!強くなったね……」
ママがあたまをポンポンとなでるから、とまっていた涙がまたあふれだす。
でもこれは、かなしくてでた涙なんかじゃ、なかったよ───。