涙色花火



「……んっ……」


小鳥の、チュンチュンと鳴く声で目をさます。


いつのまに寝ちゃったんだろう。


あれからまた、泣きながらママにだきついたのはおぼえている。


だけどそのあとの記憶がないから、たぶんそのまま寝てしまったのかな。


んーっと、のびをする。


そしておきあがって、ひとめぼれをして買った紫色のカーテンをシャッとあける。


「曇ってる……」


空には、いまにも雨が降りそうなぶあつい雲がどんよりとうかんでいる。


「雨、降るのかな……」


こんな真っ黒な雲、みてるだけで気分がさがっちゃうよ。


そして、こういう日はいいことがない。


ボーッと空をながめていると、ママがキッチンからみゆをよぶ声がして、いそいで学校にいく準備をする。


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