涙色花火
テレビをみながら朝ごはんを食べる。
天気予報士のおねえさんが、今日のお天気をつたえているところ。
「昼から雨だって言ってるし、傘もっていくのわすれちゃだめだよ」
ママのことばに、うん、とだけ返事をして、ママがつくってくれたフレンチトーストを口にはこぶ。
「結優奈?いつもだったらこの時間にはもう、家をでてるんじゃない?」
ボーッとしているみゆの耳にとどいたママの声で、ハッとする。
言われるまできがつかなかった。
いつも家をでる時間から、10分もすぎている。
遅刻をする時間じゃないけど、やっぱりすこしあせる。
「ありがとうママ。いってくるね」
そう言って、いそいで家をでた。
ママがうしろからみゆになにかを言っているようなきがしたけど、いそいでいたみゆはふりかえらずにそのままエレベーターにのりこんだ。