涙色花火
翔陽ちゃんのことをかんがえながらボーッとあるいていると、だれかとぶつかってしまった。
だめだ……。
朝からみゆボーッとしすぎだよ。
「ごめんなさいっ……」
深々とお辞儀をして、あいての顔をみずにそのままあるきだそうとしたみゆの耳にとどいた声。
「……みゆちゃん?」
ききおぼえのある声に、みゆの心臓の音がはやくなるのがわかる。
そして、ゆっくりとふりかえる。
「っ……神、……くんっ……」
高校にはいってからまた染めたのであろう、中学のときよりもあかるくなった髪に、耳にはいくつものピアス。
制服も着くずしたりしていて、いまどきの男の子。
中学からよく目立っていて先生に目をつけられていた神くん。
中学を卒業して以来、1度もあっていなかった。