涙色花火
「ちかくに住んでんのに、全然あわなかったよね」
世間はせまいってよく言うのに意外とひろいんだねー、なんて言いながら目の前で笑う神くんに、みゆも、ねー、なんて言いながらつくり笑いをする。
ほんとは、あいたくなかったんだ。
中学のともだちには。
とくに、神くんには。
だって……、
「……高校さ、すっごいたのしいんだ。あたらしいともだちもできたしさ。
でもさやっぱり、翔陽もいたらたのしかったのになってふとしたときに思うんだ」
───ほら……、
「てか翔陽のやつ、親友の俺にもなにも言わずに急にいなくなるとかなんなんだよな……」
だから、嫌なんだよ……。
神くんは、翔陽ちゃんの親友だったからこそ、よけいにあうのが嫌なんだ。