涙色花火
そして翔陽ちゃんは、みゆにだけじゃなくて、親友の神くんにも連絡をかえしていない。
「っ……」
このまま翔陽ちゃんのはなしをきいていたら、みゆがつらくなるだけなんだ。
だからみゆは、はなしをそらす。
「神くん、こんな時間にここにいて大丈夫なの?」
神くんはたしか電車通学で、最寄り駅から4つ目の駅でおりたところにある公立高校に通っている。
徒歩で通えるみゆの高校にいくのでさえ、いまの時間ではギリギリだ。
「あっ、寝坊しちゃったんだよね」
いまからいそいでも遅刻決定なのに、全然あせろうとはせずにヘラっと笑う神くんは、全然かわっていないなって思う。
「寝坊かぁ〜!あっ!みゆ、まにあいそうだからそろそろいくねっ!」
神くんとこれ以上はなしていたくなかったのもそうだけど、このままだとみゆまで遅刻になっちゃう。
神くんにバイバイ、と手をふって、みゆは神くんからにげるように走りだした。