涙色花火
「結優奈、帰ろう?このままだと、ふたりとも風邪ひいちゃうよ」
送るから、そう言う翼くんはみゆのあたまに手をのせた。
そして、なにも言わずにみゆの手をとってあるきだした。
みゆの左手と、翼くんの右手がつながっている。
好きって自覚したら、なんだかおちつかない。
みゆのななめ前をあるく翼くんのうしろ姿をみつめる。
もしいまここに翔陽ちゃんがあらわれたら、みゆはきっと翔陽ちゃんにものすごく怒られちゃうね。
中学のときに、クラスの男の子とたのしそうにはなしていただけで、みゆと何日も口をきいてくれなかったこともある。
すねちゃった翔陽ちゃんは、もうどうすることもできなくて。
だけど、それがすっごくかわいくて……
思いだすと、ふふっと笑ってしまう。
……あぁ。
まだ、みゆの心のなかは
翔陽ちゃんでいっぱいだね───。