涙色花火
「じゃあ、HRはこれでおわり。日直、号令」
翼くんのことをかんがえていると、いつのまにかHRがおわってしまった。
教室がガヤガヤとなるなか、なっちと目があった。
そして、
(大丈夫か?)
口パクでそう言うなっちに、みゆはうん、とうなずく。
きっと、昨日のことを心配してくれているのだろう。
みゆが大丈夫なことを確認したなっちは、みゆのあたまをクシャッと1回なでて教室からでていった。
みゆは1限の準備をしながら、だれもすわっていない翼くんの席をチラッとみる。
翼くん、大丈夫かな……?
「結優奈」
うしろからきこえてきた声に、今度はそっちに顔をむけると、なっちゃんが立っていた。
そして、みゆの耳もとに口をちかづけて……
「1限さ、サボんない?」
そう言って、みゆにむかってニヒッと笑うなっちゃん。
「……うん?いいよ?」
首をすこしかしげながらうなずいたみゆに、なっちゃんは、じゃあいこう、とみゆの手をとる。