涙色花火



「翔陽ちゃんに怒られちゃうかな……」


みゆがボソッとそう言えば、


「そのときは、奈月が逆に翔陽くんを怒りかえしてあげる。『いつまで結優奈をまたせるんだー!』って!」


なっちゃんのそのことばに、泣きながら笑っているみゆはすごく変なひとだね。


「……なっちゃん。でもね、翼くんとつきあいたいとか、そういうのじゃないの……。

みゆ、最低だけど、もしいま翔陽ちゃんがもどってきたら、翼くんじゃなくて翔陽ちゃんをえらんじゃうと思うんだ……」


こんなことをきいたら、だれだってみゆのことを最低だと思う。


だけどなっちゃんは、
「結優奈、ちょっとずつだけど前にすすめたね」
ってよろこんでくれた。


「結優奈のペースでいいんだよ。まわりになにかを言われても、きにする必要なんてないからね。結優奈がだす答えを、奈月は全力で応援するから!」


うれしくて、うれしくて、なっちゃんの胸にとびこんだ。


「なっちゃん、ありがと。大好きっ!」


< 54 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop