涙色花火



それから、お昼ごはんを食べて夏休みの宿題をしていると、あれだけとおかったお祭りの時間があっというまに。


着付けの時間もあるから、余裕をもって家をでる2時間まえからママに手伝ってもらう。


白い生地におおきな紫のお花が描かれていて、さいごに、淡いピンク色の帯で仕上げる。


色素がうすくてもともと茶色のゆるくパーマがかった長い髪は、あたまの上でおだんごをつくる。


ふだんメイクなんてしないけれど、今日はとくべつ。


ママがいつもつかっているメイク用品で、みゆにかるくメイクをしてくれた。


『わぁ……!ママありがとぉ。大好きっ!』


鏡にうつっているみゆが、うんと、おとなっぽくなっている。


おとなになれたようなきがして、


それがなんだかうれしくて、自然と笑顔になる。


部屋の壁にかけてある時計に目をむけると、まちあわせまでまだまだ時間はある。


だけど、たのしみすぎてはやくお祭り会場にむかいたいみゆは、もう家をでる準備をする。


そんなみゆに、ママはクスクスと笑っている。


『じゃあ、いってくるね!』


履きなれない下駄を履いて、準備完了。


『きをつけてね』


玄関でママにみおくられて、みゆは家をでた。


< 6 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop