涙色花火
それから、お昼ごはんを食べて夏休みの宿題をしていると、あれだけとおかったお祭りの時間があっというまに。
着付けの時間もあるから、余裕をもって家をでる2時間まえからママに手伝ってもらう。
白い生地におおきな紫のお花が描かれていて、さいごに、淡いピンク色の帯で仕上げる。
色素がうすくてもともと茶色のゆるくパーマがかった長い髪は、あたまの上でおだんごをつくる。
ふだんメイクなんてしないけれど、今日はとくべつ。
ママがいつもつかっているメイク用品で、みゆにかるくメイクをしてくれた。
『わぁ……!ママありがとぉ。大好きっ!』
鏡にうつっているみゆが、うんと、おとなっぽくなっている。
おとなになれたようなきがして、
それがなんだかうれしくて、自然と笑顔になる。
部屋の壁にかけてある時計に目をむけると、まちあわせまでまだまだ時間はある。
だけど、たのしみすぎてはやくお祭り会場にむかいたいみゆは、もう家をでる準備をする。
そんなみゆに、ママはクスクスと笑っている。
『じゃあ、いってくるね!』
履きなれない下駄を履いて、準備完了。
『きをつけてね』
玄関でママにみおくられて、みゆは家をでた。