涙色花火
「つまんなかったら、えんりょなく言って?」
自信がなさそうにそう言う翼くんに、みゆはあわてて首を横にふる。
「つまんなくなんてないよ……!それに、翼くんだけじゃなくて、みゆも緊張しちゃってるよ!」
みゆのことばに、翼くんは目をまるくしたあと、すぐにうれしそうな笑顔になる。
なんだか、はずかしい……。
ふたりして顔を赤く染めながら、駅に到着した。
そして、券売機のほうへむかおうとしたそのとき、改札のほうからきこえてきた声に、みゆの笑顔はサッと消える。
「……みゆちゃん?」
ついさいきんきいたその声は、ふりかえらなくてもだれだかわかる。
「っ……神くん。……またあったね」