涙色花火



……翔陽ちゃんが、ひかれた……?


なにに……?


車に?


『ははは……ママ、なに言ってるの?翔陽ちゃんが……そんなことあるはずないよっ!みゆ、まってる。翔陽ちゃんがきてくれるまで、ここでまってるもん!』


ママにそう言って、思いっきり通話終了のボタンをおした。


いままでにおしたことのない強さで。


ケータイをとじて、ぎゅっとにぎりしめる。


大丈夫、大丈夫。


翔陽ちゃんはきてくれるんだもん。


何回も、


あたまで、声にだして、となえる。


だけど、ママが言ったことばがあたまからはなれてくれない。






……翔陽ちゃん、っはやくきてよ!


おねがい、みゆを安心させてよ。


翔陽ちゃんを信じているのに、さっきからふるえがとまらないの。


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