涙色花火
カランカラン……、
下駄の音が夏をかんじさせてくれて、なんだか心地いい。
となりどうしなんだから家からいっしょにいけばいいのに、カップルらしくまちあわせがしたいっていうみゆのわがままで、今年はべつべつに家をでた。
手をつないであるくカップルをみると、みゆと翔陽ちゃんを思いだしてふふっと笑えた。
───17時30分。
やっぱり、はやくつきすぎちゃったなぁ……。
ケータイの時間をたしかめると、18時までまだあと30分も時間がある。
この花火大会をほんとうにたのしみにしていたのが、自分でもわかっちゃう。
翔陽ちゃんも、たのしみにしてくれているかなぁ?
ここからすこしはなれたところにみえる海をみていると、なんだか翔陽ちゃんを思いだして、自然と笑顔になる。