涙色花火
『結優奈っ!』
バンッ!という音とともに、みゆをよぶ声。
声のしたほうへ顔をむけると、黒の軽自動車の運転席からママがおりてきた。
ママのおきにいりの、みなれた車だ。
『結優奈、車にのって?』
そう言って、みゆの手をとる。
だけどみゆは、その手をすぐにふりはらう。
『いかないよ!?みゆは翔陽ちゃんとここでまちあわせしてるの。みゆがどこかにいっちゃったら、翔陽ちゃんといれちがいになっちゃうじゃん!』
泣いたのかな。
ママの化粧がくずれている。
だけど、その顔をあえてみないようにぎゅっと目をつぶる。
どうして、そんないじわるなことを言うの。
翔陽ちゃんは、どこにもいかないもん。
みゆをおいてどこかにいっちゃったりなんか、そんなことぜったいにしないっ!