涙色花火
『しょぉーーーっ!!!』
しずかな夜の病院。
翔陽ちゃんママの泣きさけぶ声が、うす暗い部屋に響く。
空気がひんやりしていて、なんだかこわいよ。
『結優奈』
ドアのところでつっ立っていると、目を腫らしたママがみゆをよぶ。
やだよ。
脳がね、『みるな』ってサインを送ってるの。
だからね、みゆの足言うことをきかないんだ。
ちっともうごいてくれない。
『結優奈』
もう1度、ママがみゆをよぶ。
そして、みゆのそばにきて、『大丈夫、大丈夫』ってみゆのあたまをやさしくなでるんだ。
みゆのあたまをなでていたママの手が、今度はみゆの手をつかむ。
そしてママがあるきだすから、そのあとをみゆがついていくカタチになる。
どうして、うごいちゃうの……。