涙色花火
『やだっ……』
つめたくて、いつもふれていたかんじと全然ちがうくて、みゆは思わず距離をとってしまった。
みゆの大好きな翔陽ちゃんを、このときはじめてこわいと思った。
『……翔陽ちゃん……なの……?ほんとに、翔陽、ちゃん……?』
顔は、何十年とみてきたから翔陽ちゃんだってわかるんだ。
だけど、翔陽ちゃんはこんなのじゃない。
翔陽ちゃんはね、みゆの姿をみつけると、いつもぎゅーってだきしめてくれるの。
『ねぇ、みゆきたよ……だから翔陽ちゃんっ、いつもみたいにみゆをだきしめてよ……っ!』
みゆがおおきな声でさけぶけれど、目の前の翔陽ちゃんはピクリともうごかない。
翔陽ちゃんママは、ずっと泣いている。
ママだって……。
『っなんで……?どうして……っ。どうして翔陽ちゃんなのっ……!?』