涙色花火
『みゆちゃんのせいじゃないからね。ケータイをみながら横断歩道をわたった翔陽もわるいの。でもそれは、ぜったいにみゆちゃんのせいじゃないから』
翔陽ちゃんママは何回もみゆにそう言ってくれたけれど、やっぱりひっかかっちゃうの。
みゆが、はやく家をでなければ。
みゆが、翔陽ちゃんにメールを送らなければ。
みゆが、翔陽ちゃんをいそがさなければ。
わがままでまちあわせをしたいなんて言わないで、家からちゃんと手をつないでいっていれば。
あのとき、こうしていれば。
そんなことばかり思うんだ。
だけど、どれだけ反省しても、翔陽ちゃんはもうかえってこない。