涙色花火
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「翔陽ちゃん……」
海をながめながら、大好きなひとのなまえをつぶやく結優奈。
結優奈の過去。
それは、俺が想像していたものよりもずっとおおきかった。
このちいさなからだに、どれだけのものをかかえていたんだ。
当時の結優奈は、まだ中学生。
それをかんがえると、胸がくるしくてしかたがなかった。
「……翔陽ちゃんのケータイね、事故直後はうごいたんだけど、やっぱり衝撃が強すぎたみたいで、すぐにうごかなくなっちゃったんだ……」
そう言って結優奈は、ポケットから自分のスマホをとりだして操作をする。
そして、俺の前にそのスマホをさしだす。