涙色花火



画面をのぞくと、

“メールを送信できませんでした”


その文字が、受信メールにあふれかえっていた。


「……翔陽ちゃんが、返事をしてくれないんじゃないの。

メールじたいが、翔陽ちゃんにとどいていないのっ……」


くるしそうにはなす結優奈をみて、胸がいたくなる。


「メールを送るたびに、翔陽ちゃんにはとどかないで、そのままみゆのもとにかえってきちゃうの……」


結優奈が翔陽にメールを送っているのを、何回かみたことがある。


そのたびに、結優奈はたたかっていたんだ。


メールを送ったあと、ゆれるスマホ。


そのたびに、つきつけられる現実。


それでも、送りつづけていた。


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