涙色花火
「翔陽ちゃんは、ひっこしちゃったの……っ。
とおい、とおい、
天国に……」
結優奈からきかされていた“ひっこした”ということばを、どこかの街へひっこしたんだと勝手に思いこんでいた。
ううん。
ふつうだったら、みんなそう思うはず。
だけど、ちがった。
翔陽がひっこした先は、とおくはなれたところで……
ここからは、
その姿をみることは、できないんだ───。
結優奈のたいせつで大好きな翔陽は、
もう、かんたんにあうことのできない
とおく、はなれた場所にいるんだ……。