涙色花火
「っでも……!みゆが翔陽ちゃんをわすれたらっ……」
「わすれろ、なんて言ってないよ?あたしもわすれてないもん。わすれられるわけ、ないんだ……。
ただ、翔陽とのことが“たのしい思い出”にできたら、……それでいいんだよ」
俺に言われたわけじゃないのに、胸がジーンとする。
となりの結優奈をみると、泣きつづけている。
ちいさな背中がゆれている。
くるしかったんだな。
ずっと、たたかっていたんだな。
ただ、しずかに涙をながす結優奈。
だきしめてあげたい。
だけどそれは、俺の役目じゃない。
どうすることもできなくて、こぶしをぎゅっとにぎりしめていると、翔陽のお母さんが口をひらく。
「みゆちゃんさいきん、きになるひとができたんだよね?」