俺様幼なじみはドキドキします
今日は土曜日。

親は朝から今年中学校に上がった妹の部活の送迎兼応援という事で朝からいなかった。

なので、1人で朝から宿題して、お昼食べたら本屋さんにでも出掛けようかなと思っていたら、家のインターホンがなった。

宅配便かな?
そう思って出れば、テレビモニターに写るのは、幼なじみの加賀谷翔先輩。


「はい。」

「あー、奈々?」

「……加賀谷先輩、おはようございます。」

モニター越しに挨拶するのもなんか変だけど、
なんでいるのかわからないので……。

「おまえ暇?」

「あ、はい。」

「んじゃ着替えて出てこいよ。」

「あ、もう着替えてますけど……」

「んじゃ早く出てこいよ。」

全然わからないけど、そう言われれば、出ていくしかない。

玄関のドアを開ければ、
やっぱり幼なじみの加賀谷先輩。

小さい時は翔ちゃんとか呼んでたな。

でも、それだって、小学生の時の話で、翔ちゃんは中学に上がると同士に親の都合で海外転勤になり、半年くらい前に戻ってきた。今は私と同じ高校の1つ上の高校2年生。


戻ってきた翔ちゃんはとてもかっこよくなってて、学年が別でもイケメン加賀谷翔の噂は聞こえてきてて。

なので、もう私とは縁遠い存在な気がして、
特にそのままでいたのに?

「えっと?加賀谷先輩?」

「ダメ。おまえ、もうちょい可愛いかっこしてこい。」

言われた意味がわからず、自分の格好を見れば
普通にデニムにパーカー。

でも、そのパーカーだって、別に可愛い方だと思うけどな?

「えっと?」

「スカートか、ワンピースねーの?」

「ありますけど……」

「んじゃ早く着替えてこい。」

あ、なんか久しぶりだな。
翔ちゃんは昔っから意味もわからず、私を振り回しては楽しんでた。

あー。こーいうのが、俺様?とかいうのかな。
当時はそんな言葉もわからず、ただ、ただ、困惑してたっけ。
いつも意味がわからず怒られてたけど、それでも、何かあれば助けてくれたし、優しかった。

懐かしい思い出を思い出しながら、
部屋に戻って、洋服を選び直す。

えっと、スカート?

うーん。
季節は5月に入ったばかり。
まだ寒いかなー。でも、とりあえず水色の花柄シフォンワンピースにゆったりとしたニットカーディガンを羽織って、また、玄関に戻る。

「加賀谷先輩?」

ドアを開ければ、翔ちゃんが笑って

「うん、おまえその方が可愛いよ。ほら、早く鞄とってこい。まぁ、手ぶらでもいいけど、携帯くらい持ってこいよ?」

「あ、はい。」

って……私どこ行くんだっけ?

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