空を祈る紙ヒコーキ
切なげに優しい瞳で空はこっちを見た。
「おせっかいかもって思ったけど、涼にはそんな思いさせたくなくて、考える前に留守番したいって言い出しちゃってた」
「分かってるんだ、おせっかいって」
「ごめんな。ホント」
そういえば、ネットカフェで会った時もそうだった。空はいつも傷つくかもしれない誰かのことを想像して動いている。
こうして留守番しているのも私のため。自分のためって言ってるけど本当は人のためなんじゃん……。
何なのコイツ。話してるとやっぱり気持ちが乱される。
「あのさ、この流れで言うのもどうかと思うんだけど、涼は女の子だから一応言っておかなきゃって思って。大事なお願いがあるんだけど……」
いきなりおかしなことを言う。
それまでの空らしくない、ためらいがちな口調。
「何……? お金貸すとかは無理だよ。っていうか、どうしてアンタの頼み事を聞かなきゃいけないわけ?」
「違うよ、そういうのじゃなくて……。簡単なことだよ」
「?」
しばらく間を置き、空は意を決したように言った。
「涼と、家族として仲良くしたい。心からそう思ってる。でも、俺のことを異性として好きにならないでほしい。それだけ約束してくれる?」
その言葉を理解し返事をするまで時間がかかった。
「……は!?」
ようやく出た素っ頓狂な声は自分のものではないみたいに情けなかった。