空を祈る紙ヒコーキ
拗ねてない。そう思いたいけど、そうだ。私は拗ねていた。知らない空の一面を知って戸惑った。それは確かだ。
空はそれ以上突っ込むようなことは言わず、ただ穏やかに微笑した。
「家族ってやっと認めてくれたんだ」
「……」
そうなの? 家族だから、個人的な話をああいう形で知ってショックだったの?
「かもね。知らないけど」
曖昧に答えておいた。自分のことなのに分からなかった。
「やっぱり叶うよ。紙ヒコーキ」
空は自分の通学カバンの中からノートを取り出し、何も書かれていない真っ白のページを一枚破った。
「『新しい家族と仲良くなれますように』。あの日初めて涼と公園で会った時に投げてた紙ヒコーキにそうやって書いた」
開かれていく心(終)