空を祈る紙ヒコーキ
「アタシね、中学の頃はずっと部活はやらずに地元の友達とバンド組んで動いてたんだ。小さいライブハウスでライブもやったしファンもそれなりにいたの。でも皆高校生になったらやめるって言い出してさ。アタシ一人になっちゃってそこからは活動してない。寂しいよ〜」
「そういえば入学式の日にツイッターで宣伝してるって言ってたね。そのこと?」
「そうそう! もちろんプロじゃないから効果はビミョーだったけど何もしないより全然マシ! ツイッター見てライブ覗いてくれる気になった人も少しだけどいたし、ファンの人がツイートとかダイレクトメールで励ましてくれるからモチベも上がるし」
その活動も今はできない。最近どことなく愛大のテンションが下がっているように見えたのもそのせいだったんだ。入学式での強烈な第一印象がなかったかのように彼女の魅力は半減している。もちろん顔の作りが可愛いのはそのままだけど、印象は表情で左右される。
「大学受験のために勉強やれって親はうるさいしさー」
「それじゃあ表立ってメンバー集めるのは難しいよね。ソロ活動じゃダメなの?」
「アタシはボーカルじゃないんだよ。担当キーボードだから。歌えなくはないけど、やっぱり気の合う人と仲間になって楽しく楽器弾いたり自作の曲とか作ってライブやったりしたいんだよ。中学の時は毎日そんな風だったから」
今ではその生活スタイルも崩され、親からは進学するよう強く言われる。そんな日々に愛大はまいっていた。
「涼みたく勉強できたらいいんだけど、アタシこの通りバカだからさ。この前の抜き打ちテストも赤点! 涼は百点だったよね。どうしたらそんな頭良くなるの? 尊敬だよ〜」