拗らせ女子に 王子様の口づけを
拗らせ女子の初恋
最初に思い出すのは、小学校3年生の夏休み、初めて行ったお友達のお家から帰れなくて、迷子になったとき助けてくれた。
手前の道を曲がれば我が家だったけど。
その時は何故かその道が分からなくて、家から100メートル圏内でウロウロ泣きそうになってた私を見つけてくれた奏輔兄ちゃんが、本当にヒーローに見えた。
お兄ちゃんはただ、友達の家から家に帰る途中私を偶々見付けただけだったけど、困っているヒロイン(私)を助けてくれた勇敢なヒーローだと、勝手に思い込んだ。
その次も、初めて行く友達の家が分からなくて、しかも小学生で携帯なんて持ってなかったから友達に迎えに来て貰うなんて事も出来ず、地図をもってウロウロしていたら、又偶々通りかかった奏輔お兄ちゃんに誘導された。
お兄ちゃんは、その友達の家の隣にある空き地へ行く途中だった。
二軒隣のお家に住む野々宮 奏輔(ののみやそうすけ)お兄ちゃんは二つ年上の幼馴染みだ。昔から面倒見がよく、家族ぐるみで仲の良かった私のことも本当の妹のように遊んでくれた。
その後もあちこちで迷子になる私を何故か奏輔お兄ちゃんが見つけてくれて、私が恋に落ちるのも必然だった。
だからね、と頬を紅潮させて嬉しそうに話す私を、親友である長瀬みのり(ながせみのり)が中断させた。
「ねぇ、もう何十回も聞いた。何年沙織と一緒にいると思ってんの。私が聞きたかったのは、いつまで続けるの?ってこと!」
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