拗らせ女子に 王子様の口づけを
今年の私の誕生日は、久しぶりに奏ちゃんと過ごすことができて、幸せ一杯な一日になるはずだった。
カフェで待ち合わせをして、
「待った?ごめんね」
「ううん。大丈夫」
そんなカップルみたいに定番の言葉を言い合って、可愛く思って貰えるように頑張った服装を褒めてもらうの。
それが妹としてでも「可愛い」って奏ちゃんに言われると本当に嬉しかった。
年齢的には特に背伸びでもなんでもないけれど、初めてのホテルディナーをドキドキしながら奏ちゃんと楽しんで、奏ちゃんがデザートのケーキを私にくれたりして。
大人になった私を再確認してもらって、いつの間にかこんな大人になってたんだなって、いつまでも小さい沙織じゃないんだよって奏ちゃんと笑い合うの。
バーに寄って、夜景を見ながらのカップルシートに座って━━━━━━━。
……ハハッ。こっからは妄想も出来ないや、経験が無さすぎて大人カップルが何を語り合うのかさっぱり分かんない。
告白を断られる可能性を考えてなかったわけじゃない。妹としてしかみてなかった事も知ってる。
だから『ちゃんと』告白をして、私を見る目を変えてもらうつもりだった。
今すぐに答えを求めるつもりじゃなくて、奏ちゃんに悩んでほしかった。
考えてほしかった。
妹じゃないんだって知ってほしかった。
あんな勢いだけの告白、するつもりなかったのにな。