拗らせ女子に 王子様の口づけを
「良かったら今日の終業後お時間ありませんか?良かったらご飯、行きません?」
秦野さんのお誘いに気持ちも落ち着いて、快く快諾する。
「その為にもお仕事、先に片付けましょうか」
「そうですね」
とりあえず謝ることも出来て、秦野さんのお誘いに気持ちが楽になって、ほったらかしにしてあった仕事を終わらせなくちゃと椅子に腰を下ろす。
秦野さんも顔がスッキリしたように見えた。色々と心配させてしまったんだろうなと思うと本当に申し訳なかった。
一時間ほどで軽い打ち合わせが終わり、18時に駅で待ち合わせることにした。
気持ちが楽になったぶんその後の仕事は驚くほどサクサク進んだ。
やれば出きるじゃん。
さすが、私。
基本悩み続けることが出来ない性格のせいか、日曜日にみのりに話し終えてから泣くことはなくなった。
奏ちゃんに会っちゃうときっとまだ駄目だろうけど、やりきった感もあり、もうどうしようもないよな、なんて諦めてる。
この先他の誰かに目を向けるとか、考えられないからそれならそれで一生独身でもいいかとさえ思っている。
奏ちゃんが好きで、
奏ちゃんしか見えなくて、
奏ちゃんしか見てこなかった。
10年を軽く越えてつきまとい続けたんだ。
私のストーカー歴をなめてもらっちゃ困る。
今更振られたからって諦めることなんて出来ないんだもん。
だったら、もうずっと好きでいいじゃないか。
今迄だって彼女の存在で悲しい思いもしてきたんだ。
それでも変わらなかった気持ちを、これからも変える必要はないよね?
その気持ちを声に出せなくても。
一度けじめを付けたからには二人で会う事もやめる。
会社の同僚としての付き合いにも徹するつもりだ。
だから勝手に好きでいるだけくらいいいんじゃなかろうか。
そう結論付けて、みのりに報告したら、
「ばかもーーーーーん!!!」
って、波平さんばりに怒られた。
みのりさん、怖いです。