拗らせ女子に 王子様の口づけを
「それは……色々ご迷惑を……兄がすみません」
思わず本当の妹のように謝ってしまう。
頭をあげて秦野さんと目を合わせると再び吹き出して二人で笑った。
「今は笑える思い出よ。本当、成長してないのね」
「ですよね。だけど、さっきもいったようにそれらは無意識のようで意識していて、鈍感のようで、鈍感じゃないんです。
何を怖がっているのか、奏ちゃんの中で『妹』のフィルターを通してじゃないと私のことを見ちゃ駄目だって思い込んでるんです。
……違うな。そう無理矢理思い込まないと私と接しれないんですよきっと」
「……うん。なんか分かる気がするわ。異常だものあの束縛は」
「だけど私は、そろそろ限界で。やっぱり好きだから一緒に居たいし、奏ちゃんの一番になりたいんです。ちゃんと彼女として」
きゅっと唇を噛み締めて話を繋ぐ。
「私、奏ちゃんのこと拗らせすぎて男の人と付き合ったこともないんです。おかしいですよね、26にもなったのに」
「っ、本当に!?いやっ、話の流れでそんな気もしたけどさ。
……うーん。
そっかぁ、そうだよね、そんな風にあの顔が側にいたら諦めるのも諦められないわ」
奏ちゃん。
秦野さんの中で奏ちゃんの株が落ちすぎて、顔だけ男になってるよ。
「自分は手当たり次第彼女作ってるのに、私の事となると自分勝手に振り回して。
私も若かったから『妹』にしか思われなくても仕方ないかなって思って。
だけど、こんなに奏ちゃんは私の事を好きなんだから大きくなったらちゃんと『私』を見てくれるって思い続けてこんな結果ですよ。
どこまでバカにするんだろ、私の事」