拗らせ女子に 王子様の口づけを
「そう。多分結構高い」
「熱!?」
「沙織、午前中までだ。終わらなくても帰らすからな」
「でもっ、」
「駄目だ。お前、最近ちゃんと食べてもないだろ」
「っ、」
「そろそろだとは思ってたんだ。みのりちゃんに連絡入れとくから」
「大丈夫!ちゃんと最後まで出来る!」
「今すぐ強制送還されたいか?」
「っ、」
有無を言わさず帰らされることになった。
分かってる。
私が悪い。
朝からフラグはたっていたんだ。
だけど、今認めてしまうと一気に襲ってきそうで怖かった。
今日まで頑張ったのに。
「三矢、悪いな。頼めるか?」
「…………あっ、あぁ。はい、分かりました」
「一人で帰れる」
ここにきても子供みたいな我が儘しか出てこない。
「アホか!一人で帰らすか。俺だけじゃなくて、三矢だってほっとけるわけないだろう」
「早川、送るから」
「頼んだ」
そう言うと、頭を軽く撫でて奏ちゃんは会議室を出ていった。
撫でられた頭が熱い。
熱のせいだと思いたい。
あんなに心配してくれているのに、まともに顔も合わせられなかった。
奏ちゃんの顔を見るのが恐くて、俯いたまま顔を上げることが出来なかった。