拗らせ女子に 王子様の口づけを
瑞希さんに心配されながら、なんとか手持ちの仕事を終わらせて、午後は早退させてもらった。
三矢に促されるまま車に乗り、気まずい空気を肌で感じとるが、体がそろそろ限界だった。
こんなところで倒れられないと、意識を保つことに精一杯で他のことに気を回す余裕もなかった。
助手席に凭れてぼんやりと流れる景色を眺める。目をつぶったら、そのまま寝てしまいそうだ。
奏ちゃんが早々にみのりに連絡を入れたみたいで『夕方行くから』とメッセージが入っていた。
合鍵も渡してあるし、それまで寝ていようかな。
無言のまま車の運転をしていた三矢がこちらを向いたような気配がして、なんとなく振り向くと、三矢がバツが悪そうに口を開いた。
「悪い、大丈夫か?」
何が悪い?
分からなくて小さく首をかしげた。
「いや、体調が悪い事を気付けなかった事で八つ当たりした。悪かったな」
「……何で?隠してたんだから気付かなくて当たり前じゃん。むしろ気付かないで欲しかったのに」
口角を頑張って上げて、冗談目かして答えると三矢の眉間にシワがよる。
「無理して笑うな。辛そうで痛々しいわ」
三矢の左手で頭を軽く撫でられる。
「うわっ、熱いぞお前、大丈夫か?」
えっ!?
そんなに?