拗らせ女子に 王子様の口づけを
「……うん、隠してごめん。夕方みのりが来てくれるみたいだからそれまで寝てるよ。送ってくれてありがとう」
さすがに電車は乗れなかったかもしれない、と思うと意地を張らずに感謝しなければ。
「━━━━、流石だな野々宮さん。最近よく設計に顔出してたのって早川の様子見てたんだな。守屋さんに頼んでたみたいだぞ」
いつから?
そう言えば、最近よく来るなとは思っていたけど……。
まさか、それで??
「っ、……………………過保護すぎるんだよ」
とは言いつつ、私の体調を見抜くのはいつも奏ちゃんだった。
共働きで忙しかった両親に風邪を引いたり、頭が痛かったり、不調を伝えられずに無理していた私を一番に気付いてくれたのか奏ちゃんだった。
時には私が自覚する前に指摘されたこともあった。
なんで、なんで、気付くんだろう。
もう、ほっといてほしいのに。
私ばかりが好きで、
奏ちゃんから離れたいのに、離れられなくて、離してくれない。
こんなことしてくるから、忘れられないって気付いてほしい。
ここのところの仕事の忙しさからの疲れと、
情緒不安定な落ち着かない日々のせいか、
熱のせいか、
昂ってくる感情が抑えきれなくて涙がポロポロこぼれ落ちる。
「うーーーーーーー、」
突然唸りだした私に目を見開いて、慌てているのが気配で分かる。
「なっ、ちょっ、おいっ!どうしたんだよ」
「うーーーー、三矢、ごめん。ごめんねー」
「何がだよ!ってか、なんで泣く!?」
「ふぇーーーーー」
「子供かっ!」
「だ、だって。ごめーん。ごめんよー、」
「だから、何!?つ、もうお前んち着くから、落ち着けって」
あぁ、もうっ、とりあえず車とめっから。
なんて、慌ててる。
私は止まらない涙を子供のように泣きじゃくるしか出来なくて。
自分で感情をコントロールすることが出来なかった。