拗らせ女子に 王子様の口づけを
「沙織?サオ?おい。大丈夫か?百面相してるぞ?」
慌てて奏ちゃんの声にハッとする。
しまった。
トリップしてた………。
「だ、大丈夫。それよりも、早く食べないとね。映画、始まっちゃう」
とりあえず、その場を取り繕って食事を進める。
お会計も、誕生日だし。と、私が払おうと思ったのに、奏ちゃんにおしきられてしまった。
良かった、映画はチケット取っといて。
お互い飲み物をもって、小さいポップコーンをシェアする。
チケット代も払うと言われたが、今日はお誕生日会なんだからと私も譲らなかった。
奏ちゃんの好きなサスペンスミステリーだ。
二人で並んで映画を見て、最後の謎解きまで集中して見れた。
前説通りの、かなり当たりの映画だった。
映画館を出て、車に乗りこむ。
エンジンをかけ、走り出す前に映画の感想を興奮して語り合う。