拗らせ女子に 王子様の口づけを

「分かったならもういいわ。さっそろそろ行きましょう?野々宮先輩の誕生日プレゼント見に行くんでしょ?」


あっ!と思い出したように沙織の機嫌が直る。

そうなのだ。来月の奏ちゃんの誕生日プレゼント、今年はこっちに帰ってくるから、手渡せるんだ!


「みのり、今年はね奏ちゃんに手渡しできるのよ!貰ってくれた顔が見れるの」


何にしようかなーと、ご機嫌にメンズ雑誌を取り出す。


野々宮と離れていた5年間、沙織は宅配で誕生日プレゼント、クリスマスプレゼント、バレンタインを送っていた。それ以前も彼女でもない私が誕生日を独占することは出来ず、奏ちゃんのお家に届けてた。
ラブレター付きで。


全く本気に取られることもなく、毎年『ありがとう』と、ラインがくるだけだった。
でも、それで良かった。
だって、奏ちゃんからラインが来る。


それが、今年は手渡し出来るのだ。
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