拗らせ女子に 王子様の口づけを



楽しかった。

こんなに楽しい時間は久しぶりで、隣に奏ちゃんが居るだけで、こんなに違うものかと改めて思った。

この後どうする?
と、優しい眼差しを向けられたとき奏ちゃんの携帯がなった。

どうぞ?と、促し車のなかで奏ちゃんが携帯に出る。


━━━『えっ?あ、あぁ。………………はぁ、分かった』


仕事の話かもしれないし、なるだけ聞かないように視線を窓の外へ外した。
嫌でも聞こえてくる電話口の女の声。
どうしたんだろう、、、。

電話を切った奏輔が申し訳なさそうにこちらを見た。


「━━━ごめん、沙織。仕事で呼び出された。今から行かなきゃいけなくて」


━━━仕事か。
でも、女性の声が聞こえたけど、今打ち合わせしているお客様かしら?
仕事なら、仕方がない。
今日の目的は一応映画だ。
プレゼントも渡したし、生の顔も見れた。
一応口実の映画も見た。
出来れば、夜まで遊んで家に招きたかった。
私の家を知らない奏ちゃんを招待したかった。

でも、お仕事だ。
今日は楽しかった。
仕事の足だけは引っ張りたくない。


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