拗らせ女子に 王子様の口づけを
拗らせ女子の誕生日
いつのまにか、奏ちゃんの誕生日から1ヶ月がたった。
奏ちゃんのスーツには、私のあげたカフス。見るたびに鼻血ものだ。
奏ちゃんも忙しそうに毎日バタバタしている。あれ以来ゆっくり会うことも出来なかった。
カーテンや照明、プレゼン資料の依頼に奏輔の名前を見ると目元が緩んでしまう。
確認のため、内線にかけると声が弾んでしまう。
ばったり休憩コーナーの自販機で会うこともあった。
いやん。
これぞオフィスラブ。
「奏ちゃん、なんか楽しいね」
「なにが?」
「なんか、社会人って感じじゃない?」
「サオ、話が見えん」
帰り際、休憩コーナーで疲れはてていた奏ちゃんを見つけて、声をかけた。
私の下らない話に付き合う暇もないらしい。
最近部下の付き添いと、新入社員の教育、自分のお客さんとで毎日忙しいのだそうだ。
「毎日遅いの?」
「あぁーーー駄目だな。今ちょっとキツいわ」