拗らせ女子に 王子様の口づけを

私と秦野さんの微妙な空気はさすがに分かったらしい奏ちゃんも、理由までは分からないと首を傾ける。

もう、どうでもいいや。
そんな風にしか思えなくて、店に掛かる時計を見るとか24時を5分過ぎていた。
誕生日、終わっちゃった……。
頭で考えるよりも先に口から奏ちゃんを呼ぶ声を出していた。

「奏ちゃん、」

顔を向けて、しっかりと見つめ直した。
奏ちゃんも戸惑いながら向き合ってくれた。




「奏ちゃん。私、ずっと奏ちゃんの事が好きだった。付き合って下さい」




視線も剃らさず真っ直ぐ奏ちゃんの目を見て、ずっと言いたかった一言を吐き出した。
奏ちゃんの、一重で大きいわけではない目がこれでもかと大きく見開いた。



「……っ、」

「奏ちゃん、私奏ちゃんとずっと一緒に居たい。ちゃんと、好き、だよ」







「……サオ。俺も好きだよ。沙織」

「……私は妹?」








「…………………………あぁ」






「そっか。分かった」




「っ、」

「じゃあ私、先に帰るね。誕生日も終わったし、もう私の時間はおしまい。奏兄、今日はありがとう」

「っ、奏兄……?」

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